べたれば

better late than never→略してべたれば。5年間引きこもった末にようやく社会復帰した発達障害(ADHD)持ち。「遅くても何もやらないよりマシ」をモットーに、社会復帰までの経緯や興味関心、今考えていることなどを書いていきます。

近所のコンビニの新人さん

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近所のコンビニに新人さんが入った。
その男性は齢にして50代半ばといったところだろうか。
頭は薄く禿げ上がり眼鏡の奥からのぞくその瞳からは輝きが失われている。

この新人さんの要領がまあ悪い。
動きも遅いし愛想もない。その佇まいは十数年油も差されずに放置された、錆びだらけのロボットを連想させる。
教育係としてついているのだろうか、ピアスの開いた若者が通常の業務をテキパキとこなしながら適宜、彼のフォローに入る。

帰宅ラッシュということとその新人さんの要領の悪さも相まって、レジは混雑している。
その列に並びながら一部始終を眺めていた。

 

自分の番が回ってくると、僕はラッキーストライクと母から頼まれたキャスターワンのロングを注文した。
その新人のおじさんはどこに何が置いてあるのか皆目見当もついていない様子だ。
すかさずピアスの若者がフォローに入る。特にイライラする様子もなく淡々と。

僕はおじさんがレジ操作を誤らないか不安だったが、デビットカードで会計を済ませた。
会計は無事に終了した。

 

一言礼を言って店をあとにし、家路をたどっているとなぜだか嬉しさのようなものがこみ上げてきた。
こんな感情を抱くのはかなり傲慢な事なのかも知れない。
でも決してそんなつもりはない。

50代初老の男性がコンビニでレジを打っているだなんて、普通に考えれば何か事情があってのことだろうと否が応でも勝手ながら邪推してしまう。
余計なお世話なのは百も承知だが、そのおじさんに対して「頑張れ、負けるな」という思いが沸々とたぎってきた。

 

昔の僕なら「つかえねーおっさん雇ってんじゃねーよ」くらいに思っていたかもしれない。
でも今は違う。
世の中にはいろんな人がいる。
それぞれが大なり小なりの闇を抱えて生きている。
その闇にさえ気づけない人だっている。

 

5年間ひきこもり、どん底を味わって、苦心惨憺たる思いでなんとか社会へと復帰した今だからこそわかることがある。
その復帰の過程で出会った人々、いろんな人がいていろんな悩みを抱えている。
僕も闇を抱えながらなんとか毎日を過ごしている。
でもその闇を受け入れて生きていこうと心に誓った。
毎日神経が急ブレーキをかけられたタイヤのようにすり減って、その溝が次第に浅くなり、いつ歯止めが利かなくなるともわからず不安ではあるけれども。

 

自分がこんな偉そうなことを言える立場にないのはわかっている。
でも、いかなる状況であれ、なんとか必死に生きていこうとする人たちがいること。その姿に自分も頑張らなくてはいけないのだなと、深く思わされ、勇気づけられた。

帰り際、そのおじさんに言った礼に嘘偽りの気持ちは微塵もない。
この場を借りてもう一度言わせてほしい。

「ありがとう」と。

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