べたれば

better late than never→略してべたれば。5年間引きこもった末にようやく社会復帰した発達障害(ADHD)持ち。「遅くても何もやらないよりマシ」をモットーに、社会復帰までの経緯や興味関心、今考えていることなどを書いていきます。

自らを健全に懐疑すること

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村上さんのところより↓

Q.中学三年生でもうすぐ受験です。
 私は県で1、2を争う進学校を受験しますが、そこはあくまで通過ポイント、私の目指す場所は東大です。
 そこで、村上さんにお聞きしたいことがあります。私が高校3年間を過ごすにあたって、一つだけやるべきことがあったら何ですか?どんなことでも結構です。(男性、14歳、中学生)

 

 僕ならこう返すと思う。

「目的意識をもってひとつひとつの物事に取り組むこと。ただがむしゃらに頑張っても結果は出ないだろうから、目標に対して今の自分の現在地が把握できれば自ずと道は見えてくるんじゃないかな。」

 

村上春樹はこう返した↓

A.そうですか。僕は東大ってちゃんと行ったことないんで、どんなところかよくわからないです。きみもたぶんよく知らないよね。高校3年間を過ごすにあたって、ひとつだけやるべきこと?自らを健全に懐疑することではないでしょうか。

 

なんつーか、人間としての思慮と懐の深さに差がありすぎる。

いや、村上春樹と比較する時点で間違ってるんだけど、それにしても自分の答えの浅さよ(笑)超一般的な当たり障りのないアドバイス!

というか東大目指してるくらいの子だったら、そんなん言われなくてもわかっとるわい!って話だよね。

 

自らを健全に懐疑すること。

 

なんかいろいろと考えさせられる。

客観的に自己を分析して決して慢心してはいけないのですよ、といったメッセージに僕は解釈した。

この中学生は文面から察するに、結構自分に自信があるんじゃないかなと僕は感じた。

はっきりと高校受験は通過点で、あくまで目標は東大だと言ってのけるその自信。

だから一歩間違えると人の痛みが理解できない傍若無人な人物にもなりかねないのではないかと、勝手に妄想を膨らませたんだけど。

 

ポイントは「健全に」というところにあると思う。

僕はこの健全という言葉がわりに好きなんだけれど、懐疑するにしても「健全」でなければならないのよね。

自分のこと疑ってばっかりいると心が内に内に向いていってしまって、自信を失ってしまうだろう。

僕のように(笑)(何でもすぐに忘れるから自分の記憶が一番信用ならない。だから不健全に疑ってばかりきました。というか現在進行形で。)

だからあくまでも「健全に」懐疑しなくてはならない。

 

よく自分を信じろという言葉は耳にするけれど、疑えという人はなかなかいないよね。
東大を目指すような男子だから、敢えて考えさせるようなことを言ったんじゃなかろうか。(あるいは、この中学生は考えるまでもなくすぐに答えを導き出せるほどに頭が良いのかも知れないけれど)

 

なんというか、とてもレベルの高いところで繰り広げられているやりとりだなあと勝手に思うのでした。ドラゴンボールの戦闘シーンで、動きが速すぎてお互いの姿が見えずに衝撃波だけがこだまするようなシーンを見ているような気持ちにさせられました。

村上春樹がどれくらいの時間考えてどのような意図があって、この言葉を送ったのかは知りようもないのだけれど(あるいはほとんど何も考えてないのかも)、文章を書くことを仕事にするということはすごいことなんだなと改めて思わせられるのでした。

 

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